近代和風 構造補強計画と プラン提案
明治30年に建造された近代和風建築の耐震診断と補強計画、その他、改修プランの提案をおこなっておりましたので、これに記載します。
■改修前の状態
南側から見た外観です。瓦屋根で、南側に下屋がでているのがわかります。この
平屋部分は、浴室や、トイレ、台所が設置されていますが、現在は荒れ果てています。
以前は、ほぼ総2階の建物に、増築がいくつかなされているものだと思います。
北側から見た外観です。屋外階段がついていました。
西側外観です。ここから建物に入る玄関が存在しています。こちらの屋根は、入母屋のようになっています。基本は切妻の屋根です。
1階平面図
敷地がそこそこ広いのですが、東側の道路に1.8mほどしか接道していないため、再建築不可となっています。
庭が南側と北側に存在しており、有効に活用できそうです。東側から玄関に入り、広い廊下を通って、和室にいったり、室AB,洗面所などの下屋部分に行ったりします。和室の西側の洗面所や浴室は、後から増築されたものだと推察されます。和室1,2は南側庭に面しており、開放的で良い空間になっています。
1階和室です。書院が存在し、欄間のある建物です。明治期に欄間のある建物は珍しいです。
開放すると庭につながる縁側のある和室になります。
欄間も意匠されていました。
2階平面図です。和室2-1は、書院と縁側が存在して、こちらも開放的で良い空間になっています。
2階の和室です。2階からは、南側の公園が見え、とても良い家です。
天井には装飾が存在して、立派でした。
縁側の桁も1本ものです。
2階の縁側も良い空間になると思います。
2階部分の欄間や襖も意匠されていました。
玄関部分の柱は、蟻に食べられたあとがあり、対応が必要です。
基礎下は石場建の建物です。
煉瓦造となっていました。これをどのように構造補強するのか、腕の見せ所です。基礎の補強が、こういった場合最も重要になります。
その他、下屋部分は、トイレや浴室洗面所、台所となっていましたが、現在は荒れ果てています。
■改修の提案内容
1階平面図 改修プラン
北側の庭と南側の庭は、コミュニティガーデンとして活用し、公園に対しても開けた形が取れればっという要望です。既存平面図の室ABと洗面所、台所部分(下屋)を改修して、食堂にし、オープンキッチンとして、つくります。庭に簡単に出入りできるようにして、庭に植えた食材を調理できるようにします。既存の和室は、基本的には、既存のまま、クリーニングをして、使えるようにします。天井、襖、欄間、壁は、修復して活用ということになるかと思います。和室1、2はアートギャラリー等で活用ということになるかと思います。
2階は、そこまで、予算をかけられない事情があり、全体的には清掃して、既存の状態を活かして、利用します。南側のアルミサッシは、外観の向上として、木製建具に変更します。その他外部鉄骨階段を塗装します。和室2-1,2-2はアートギャラリーとして利用します。和室2-3,2-4は、会議室、事務室として利用します。
■耐震診断
耐震診断をおこないました。
1階の壁量を表現しています。東西方向が特に壁の量が少ないことがあげられます。
2階も東西南北共に、開口部が多い構造体になっています。
診断結果は 1階東西方向で 0.13南北方向で0.20
2階東西方向で 0.08 南北方向で 0.34 という非常に低い数値になっています。
■補強計画
補強計画を検討しました。
和室の開放感は損ないたくないため、できるだけ、見える部分の壁はいじらずに、物入などの東西方向の壁を補強しています。
その他下屋部分。
2階部分も、東西方向を中心に、物入部分を補強しますが、基本的には、1階部分の補強を重点的に行い、2階の補強は 両少な目にしています。
これで、建築基準法の掲げる 評点1.0をなんとかクリアできる補強計画となっています。
続く